ドラブロ ーバス運転士の徒然日記ー

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「サル痘」についてWHOが緊急事態を宣言か?

WHO(世界保険機関)のテドロス事務局長は14日、動物由来のウイルス感染症「サル痘」について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(PHEIC)に該当するかどうかを検討する緊急委員会を23日に開催すると発表しました。
日本での感染者はまだ報告されていませんが、緊急事態が宣言されれば、2020年1月30日に新型コロナウイルス感染症に対して出されて以来となります。

mainichi.jp

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は14日の定例記者会見で、動物由来のウイルス感染症「サル痘」について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(PHEIC)に該当するかどうかを検討する緊急委員会を23日に開催すると発表した。緊急事態が宣言されれば、2020年1月30日に新型コロナウイルス感染症に出されて以来となる。

テドロス氏は会見で「ウイルスが異常な動きを示し、感染が確認された国が増えている。対応の引き上げを検討する時期が来た」と述べた。

緊急事態宣言の是非は、専門家でつくる緊急委員会の議論を踏まえ、テドロス氏が最終判断する。宣言した場合、WHOは加盟国に感染拡大阻止のための措置を勧告し、各国はそれに応じた対策を取る必要がある。

サル痘は従来、アフリカ中西部の国々で流行を繰り返してきた。最も被害の大きいコンゴ民主共和国(旧ザイール)では今年に入り、1300人以上に感染の疑いがあり、64人が死亡している。

一方、アフリカ以外ではこれまで感染例はほとんどなかったが、今年5月以降、欧米を中心に拡大し、死者は出ていないものの、8日までに28カ国で1285人の感染が確認されている。

サル痘は1958年に研究用のサルで初めて発見されたことから名付けられた。だが実際にはリスやネズミなどからもウイルスは見つかっており、テドロス氏は名称の変更も検討すると明らかにした。

記事引用元:毎日新聞

死者は出ていないものの、アフリカ諸国以外で1,000人以上の感染者

WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は8日の記者会見で「サル痘」の感染者が従来継続的に発生してきたアフリカ諸国以外の29カ国で1,000人以上確認されたと明らかにしています。
幸いなことに、現在まで死者は出ていません。

以前の記事でもご紹介したように、サル痘患者は5月以降、欧米諸国を中心に見つかってきました。

dra-blo.hatenablog.com

現在の患者は男性の同性愛者が多いとのことですが、テドロス事務総長は「いくつかの国では、市中感染とみられる例も発生し始めている」と指摘していて、患者が見つかった場合は感染拡大を防ぐため隔離し、濃厚接触を避ける重要性を訴えました。

エイズと似た感染の広がり方という声も

現在欧米で報告されている感染者はほぼ全員がゲイかバイセクシャルの人たちだそうです。
「アフリカ発祥で男性同性愛者に感染し死に至る病」といえばHIVエイズウイルス)感染症が想起されますね。
そして、HIVが発見された1980年代前半も初期の感染者は男性同性愛者がほとんどでした。
こういった事情から「サル痘が第2のエイズになるのでは?」と懸念する声が上がっているようです。

HIVが登場した当初は治療薬がなく、有効な薬が登場するまでに10年近く待たなければなりませんでした。
そして、サル痘も今のところ有効な治療薬はありません。
しかし、HIVのように無治療であればほぼ全員が死に至る病ではなく、サル痘の致死率は現在流行している西アフリカ株で1%程度です。

発疹ができたサル痘患者の腕

発疹ができたサル痘患者の腕(画像:WHO・ナイジェリア疾病対策センター

ただし、1%といっても感染が急速に広がり感染者が増えれば、死亡者の絶対数は増えます。
また、HIVと同じように当初は男性間のみでの感染だったのが、次第に男性から女性、次いで女性から男性に広がるようになれば感染者は一気に膨れ上がる可能性があります。
WHOが指摘した「市中感染とみられる例も発生し始めている」というのも、新しい感染拡大のステージに上がったという危機感の表れかもしれませんね。

天然痘ワクチンに予防効果はあるが重篤な副作用も

ところでサル痘が天然痘の軽症版という感染症なら、天然痘のワクチンを受けている世代なら防げるのでしょうか。

天然痘ワクチンは生ワクチン(病原性を弱めたウイルスを使うワクチンで、一般に、ウイルスを完全に殺して使う不活化ワクチンよりも効果が強い)で、何十年たっても皮膚に痕跡が残るほどですから、サル痘にも有効だろうと単純に楽観的に考えたくなりますよね。
実際、WHOもCDC(アメリ疾病対策センター)も天然痘ワクチンのサル痘に対する効果について「有効率(感染を防ぐ率)は推定で85%(以上)」としています。

アメリカやイギリスでは、今から天然痘ワクチンを接種するといった選択も考えています。
報道によればある程度の量が確保できる見込みがあるそうです。
一方で、日本の厚生労働省はワクチンの備蓄が日本にどれだけあるのかを明らかにしていません。
もし、多人数に接種しようと思っても、おそらくすぐには増産体制に入れないでしょうね。

そしてもちろん、天然痘のワクチンにも率は高くないながらも副作用があります。
CDCは「接種を受けた人100万人につき1~2人が、命に関わる合併症で死亡すると推定される」としています。
そのため、WHOもワクチンについてはウイルスにさらされる危険性がある医療従事者らに接種を優先させる一方で、一般人を対象にした大規模な接種は必要ないと強調しています。

上記のようにサル痘は軽症で済む例が大半ですが、今の広がり方を見ているといつ日本に入ってきてもおかしくない状況に思えます。
新型コロナウイルス感染症の際の水際対策の失敗を教訓に、政府には軽症だからといっても油断せず、しっかりと対策を行ってもらいたいですね。