ドラブロ ーバス運転士の徒然日記ー

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健康寿命を延ばすための習慣とは?

気軽にはじめられる運動のひとつ「ウォーキング」は、中年の時期からコンスタントに継続しておくことで健康寿命を延ばすのに効果があるそうです。
JAMA Network Open誌のWebサイトに、2021年9月3日に掲載された中年期の歩数が生命予後に与える影響についての論文でその効果が発表されています。

jamanetwork.com

2,110人の成人を対象とした平均追跡期間10.8年の研究において、1日7,000歩以上歩く参加者は、1日7,000歩未満の参加者と比べて死亡リスクが50~70%低かった。
歩数量の調整にかかわらず、歩数強度と死亡率との関連は認められなかった。

この研究は、黒人および白人の中年女性および男性において、1日の歩数の多さが早期の全死因死亡リスクの低さと関連していることを明らかにした。
1日あたりの歩数は,臨床および集団の環境における身体活動促進のための有意義な指標である。
歩数目標の推進戦略を導くためには、歩数と死亡率を含む臨床的エンドポイントとの関連を理解することが重要である。

この研究の参加者は38歳~50歳で、2005年から2006年にかけて加速度計を装着した。
参加者は平均(SD)10.8(0.9)年間追跡された。
データは2020年と2021年に分析された。

毎日の歩数を低(7,000歩/日未満)、中(7,000~9,999歩/日)、高(10,000歩/日以上)に分類し、歩数強度を30分のピーク歩数と100歩/分以上の滞在時間で分類した。
CARDIA試験の参加者2,110名が対象となり、平均(SD)年齢は45.2(3.6)歳、女性1,205名(57.1%)、黒人888名(42.1%)、中央値(四分位範囲[IQR])は9,146(7307-11162)歩/dであった。
22,845人年の追跡期間中に、72人(3.4%)が死亡した。

多変量調整Cox比例ハザードモデルを用いて、低歩数群の参加者と比較して、中歩数群(ハザード比[HR]、0.28[95%CI、0.15-0.54];リスク差[RD]、1,000人あたり53[95%CI、27-78]イベント)および高歩数群(HR、0.45[95%CI、0.25-0.81];RD、1,000人あたり41[95%CI、15-68]イベント)には死亡リスクが著しく低いことが明らかにされた。

低歩数群と比較して、中・高歩数群は、黒人参加者(HR、0.30[95%CI、0.14-0.63])および白人参加者(HR、0.37[95%CI、0.17-0.81])の死亡リスク低減と関連していた。
同様に、低歩数群と比較して、中・高歩数群は、女性(HR、0.28[95%CI、0.12-0.63])および男性(HR、0.42[95%CI、0.20-0.88])の死亡リスク低減と関連していた。
30分のピーク強度(最低 vs 最高三分位:HR, 0.98 [95% CI, 0.54-1.77] )、100歩/分以上の時間(最低 vs 最高三分位:HR, 1.38 [95% CI, 0.73-2.61] )には死亡リスクとの間に有意な関連はなかった。

この研究では、中年期の黒人および白人男女において、約7,000歩/日以上歩いた参加者は、7,000歩/日未満の参加者と比較して死亡率が低いことが明らかになった。
歩数の多寡と死亡率との関連は認められなかった。

定期的な身体活動は、健康を改善または維持するために人々ができる最も重要な行動の1つである。
身体活動を行うことは、心血管疾患、糖尿病、いくつかの癌など、多くの疾患に対して実質的な健康効果をもたらし、生活の質も向上させます。

論文の一部を機械訳

健康のために必要な歩数は?

「健康のためにはよく歩くのが良い」というのは健康の専門家だけでなく、多くの人が言っていることですよね。
最近ではスマホやスマートウォッチなどのウェアラブル端末が普及して、簡単に毎日の歩数が計れるようになり、よりその健康効果が一般に広まりを見せています。
そこで問題となるのは目標とするべき歩数です。

馴染みのあるのが1日1万歩歩きましょう、という基準。
僕も何度も聞いたことのある基準値です。
ただ、実際にその根拠は、あまり精度の高い研究に裏付けられたものではないそうです。

最近では日本の中之条研究の報告において、もう少し少ない1日7,000~8,000歩程度が最も健康への有効性が高い、という結果になっています。
更に最近指摘されることが多いのが歩行の速度で、20分程度の「早歩き」を入れるとより効果が高いというデータが得られていました。

1日平均の身体活動から分かる予防基準一覧

1日平均の身体活動から分かる予防基準一覧(画像:健康長寿研究所)

ただ、こうしたデータの多くは高齢者が対象となっていて、心血管疾患などの病気の予防効果が健康効果の主体として検証されていました。

7000歩以上歩けば総死亡リスクが72%低下

今回の研究は、アメリカで施行された虚血性心疾患のリスクについての大規模な疫学研究のデータを活用して、中年期の歩数や歩行の速さと生命予後との関連を検証しているものとのことです。

38から50歳の2,110名の一般住民を、平均で10.8年という長期間観察したところ、1日7,000歩未満しか歩いていない人と比較して、1日7,000から9,999歩歩いている人は、観察期間中の総死亡のリスクが72%(95%CI:0.15から0.54)低下していました。
1日1万歩以上歩いている人では、55%(95%CI:0.25から0.81)の総死亡リスクの低下が認められました。
1分間に100歩以上歩くような早歩きをしても、そうでない場合と比較して総死亡のリスクには変わりはありませんでした。

このように、中年期の歩数が7,000歩を超えることで、その後10年の早期死亡のリスクの低下が確認されました。
その一方で、1万歩を超える歩行には7,000歩から9,999歩の歩行を上回るような効果はなく、早歩きをしても明確な死亡リスクの差は認められなかったということです。

これは勿論、体力を付けることなどとは全く別の視点からの分析ですが、中年の時期に7,000歩から1万歩を超えないくらいの歩数を確保することは、その後10年の早期死亡の予防に、かなりの効果が期待出来るという言い方をして間違いがないようです。

僕も高速バスの乗務を始めてから、空き時間が増えたこともあり、意識的に歩くようにしています。
1日平均7,000歩というのは思ったよりもしっかり歩かないといけませんが、達成できると睡眠の質向上や便秘解消にも効果があり、とても効いているなと感じます。
これからも、1日7,000歩歩くという目標を掲げながら、日々楽しく過ごせればいいなと思います。