ドラブロ ーバス運転士の徒然日記ー

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補助犬法の成立から20年が経過しました

公共施設などに補助犬盲導犬介助犬聴導犬)の同伴受け入れを義務付けた身体障害者補助犬法の成立から5月22日(日)で20年を迎えました。
法制化以降、障害者のパートナーである補助犬が3,000頭近く誕生する一方で法律の認知度は低く、多くの使用者が同伴拒否を経験しているとのことです。

mainichi.jp

公共施設などに補助犬盲導犬介助犬聴導犬)の同伴受け入れを義務づけた身体障害者補助犬法の成立から22日で20年を迎える。法制化以降、障害者のパートナーが3000頭近く誕生する一方、法律の認知度は低く、多くの使用者が同伴拒否を経験。新型コロナウイルス禍で周囲の支援を得られにくいといった新たな課題も浮かんでいる。

日本盲導犬協会の調査(3月公表)によると、回答した盲導犬使用者215人の35%が2021年1~12月に同伴拒否を経験。同協会が対応した事例のうち、拒否された場所は医療機関が最も多く、飲食店、宿泊施設と続いた。医療機関が最多となるのは05年以降初めてで、同協会は犬がウイルスを運ぶなどの誤った理解▽他の患者への影響を懸念――などと原因を分析する。調査では、使用者から「周囲に手引きなどのサポートを頼みづらい」といった声も寄せられた。

厚生労働省は「ほじょ犬マーク」をつくるなどの啓発事業をしてきたが、「日本補助犬情報センター」(横浜市)が全国のサービス業従事者を対象にした調査(18年)では、法律を知らない人が7割に達した。

補助犬法は02年5月に議員立法で成立。交通機関や不特定多数が利用する全ての施設に同伴受け入れを義務づけたが、罰則はない。

介助犬と各地で講演してきた兵庫県宝塚市の障害者、木村佳友さん(61)は20年前と比べ、補助犬に関する報道や企業の取り組みが激減していると指摘。「子どもの頃に講演を聴いてくれた人は大人になっても優しく受け入れてくれる。学校で補助犬について学ぶ機会を増やせば、もっと浸透するのでは」と提案する。

記事引用元:毎日新聞

医療機関での盲導犬受け入れ拒否が急増

日本盲導犬協会が、2021年度に盲導犬の受け入れ拒否に遭ったユーザーから要請され問題解決に向けて対応した37件のうち、受け入れ拒否が起きた場所としては、医療機関が13件(35%)で最多、次に飲食店の9件(24%)、宿泊施設の6件(16%)が続きました。
医療機関が最多となるのは2005年以降初めてのことで、記事にもあったように犬がウイルスを運ぶなどの誤った理解があったこと、敏感になっている他患者への影響を懸念していることなどが推測されます。
また、新型コロナウイルスワクチンの接種会場に妄動犬と同伴できない、などの事例もあったようです。

盲導犬の受け入れ拒否の起きた場所

盲導犬の受け入れ拒否の起きた場所(画像:日本盲導犬協会

その一方で、受け入れる医療機関側からは「診察室には衛生的に犬を入れられない」「コロナへの不安感がある中、犬の存在は苦情に繋がるかもしれない」などの犬の衛生面での懸念の声があったそうです。
こうした不安を解消するために、日本盲導犬協会では身体障害者補助犬法に基づく盲導犬の衛生管理を説明する他、どこまで犬と同伴できるか、犬の待機場所の検討など、病院内のルールづくりのサポートも実施していくとのことです。

医療機関における盲導犬受け入れへの懸念点

医療機関における盲導犬受け入れへの懸念点(画像:日本盲導犬協会

命と直結する医療現場での受け入れ拒否は、盲導犬ユーザーに大きな不安とストレスをもたらしますが、健常者から見ても補助犬の衛生管理方法など、分からないことも多いもの。
医療機関側のルール作りや日本盲導犬協会でのさらなる啓蒙活動など、一刻も早い改善が求められますね。

法律の認知度は30%以下!

盲導犬の受け入れを拒否した事業者が、なぜそのような対応を行ったのか原因を調査すると、「法律を知らなかった」が15件(41%)、 事業者が法律をよく理解しておらず「受け入れ方を誤解していた」も合わせると24件(65%)に及びました。
他には「従業員への教育不足」が7件(19%)と、いずれも、身体障害者補助犬法の周知が進んでいないことが明らかになっています。

盲導犬受け入れ拒否の原因

盲導犬受け入れ拒否の原因(画像:日本盲導犬協会

2019年に日本補助犬情報センターが行った「就労している成人への身体障害者補助犬法周知と身体障害者補助犬の受け入れに関する調査」によれば、市民の補助犬法の認知度について「法律の名称も内容も知らない」と回答した人が68.6%と報告されています。
障害のあるなしにかかわらず、誰もが自由に社会参加できる社会の実現へは、事業者や一般市民への身体障害者補助犬法および障害者差別解消法の周知が必要であるということですね。

コロナ禍で新たな障害も

盲導犬同伴を理由にした「受け入れ拒否」については、75人(35%)が「ある」と回答しました。
これまでは60%前後で推移してきましたようですが、コロナ禍になって41%→35%と大きく減少しています。

盲導犬受け入れ拒否にあった人の割合

盲導犬受け入れ拒否にあった人の割合(画像:日本盲導犬協会

「ある」と答えた人の多くは複数回の受け入れ拒否を経験している一方で、「ない」という人からは「コロナ禍なのであまり外出しない」「利用経験のある店にしかいかない」とする声が多くあったそうです。
これらのデータから、受け入れ拒否の減少はコロナ禍でユーザーの外出頻度が減ったこと、行動範囲が狭まったことが要因と推察されます。

外出時の不安・困りごとで最も多かったのは「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」 が42%。次いで「商品などを触るため周囲の目が気になる」(21%)、「周囲に手引きなどのサポートを頼みづらい」(19%)など、周りに気兼ねしながら外出するユーザーの実態が判明しました。

コロナ禍における盲導犬ユーザーの外出時の困りごと

コロナ禍における盲導犬ユーザーの外出時の困りごと(画像:日本盲導犬協会

健常者にとって見れば、他の人と1m以上の距離を空けるソーシャルディスタンスは当たり前のものになりつつありますが、視覚障害者の方々にとってみれば間隔が分からないので大変ですよね。
また、障害者のサポートを行う場合もコロナ禍によって接触感染のリスクがあるため、それを理由に拒否されたり、視覚障害者の方から頼みづらい状況にあるようです。

補助犬の受け入れ拒否を経験したり、コロナ禍によってサポートもお願いできないとなると外出を諦めるという選択になってしまいがちですよね。
僕たちが路線バスや高速バスに乗務する時は、普通に補助犬も一緒に乗っていただいていますが、このような状況がもっと当たり前に広がってくれればと思います。