ドラブロ ーバス運転士の徒然日記ー

バス運転士が日常の気になったコトやモノについて書き綴っています

SDGsに大活躍の燃料電池バスに利用客からの見えない不満があるようです

SDGs(持続可能な開発目標)の達成が呼びかけられる中、全国各地で導入が試みられているの燃料電池バスですが、利用客の一部にはコロナ禍独自の不安を抱えている人もいるようですね。

merkmal-biz.jp

エコなバスとして普及の進む燃料電池バスにも欠点はある。それは、新型コロナウイルス感染拡大への対応だ。

都営交通ではお客さまセンターに寄せられた声を月ごとに公開している。ここには、感染拡大以降、燃料電池バス内での「換気が不安だ」という意見が何度か寄せられている。

現在、都営バスでは換気装置による換気に加え、起点と終点で扉を開放して換気している。雨天時以外は、窓開けによる換気も実施している。ところが、燃料電池バスは車両のデザイン上、開閉できる窓が少なく、サイズも小さいため、換気は空気清浄装置で対応している。

現在、少ないながらも窓を開ける措置が取られているが、それでも不安を感じる人は多いようだ。通勤時間帯に燃料電池バスが来ることの多い路線を利用する人に話を聞いてみたところ、こんな意見を聞けた。

「空気清浄装置があるとはいえ、窓が小さいので空気がこもっている感じがします。最近は大事を取って、燃料電池バスが来た場合は見送るようにしています」

さらに、燃料電池バスの窓ガラスの材質を不安視する声もある。

燃料電池バスの窓ガラスをなぜ不透明なデザインにしたのでしょうか。感染を防ぐために、乗客が多いバスが来た時は見送っていますが、燃料電池バスは車内が見えないので、一歩車内に入ってから『すみません、やっぱり降ります』ということも多いんです」

通勤通学でバスを使う人は、電車に比べて狭い車内での感染に対する警戒心が強い。そうした視点で見れば、利用者にとって燃料電池バスがエコかどうかはさほど重要視されていないようにも見える。

環境に配慮した車両として普及しそうな燃料電池バスだが、それを阻む感染防止対策はどう進められていくのか。感染防止対策はウィズコロナ時代の日常に必須だ。一日も早く、対策を採った車両が登場することを願っている。

記事引用元:Merkmal

通常のバスに比べて、開閉できる窓は少ない

燃料電池バスの車内画像を見ると、確かに開閉できる窓は少なめですね。

燃料電池バスの車内

燃料電池バスの車内(画像:トヨタ自動車株式会社)

また、外からの画像を見ても、開閉式の窓はほとんど見当たりません。

燃料電池バスの外観
燃料電池バスの外観
燃料電池バスの外観(画像:トヨタ自動車株式会社)

最近は、路線バスの新車でも固定窓の面積が増えているので、これが業界のトレンドなのかもしれません。

路線バスのエアロスター
路線バスのエルガ
路線バスのエアロスター(左)とエルガ(右)
(画像:三菱ふそうトラック・バス株式会社、いすゞ自動車株式会社)

また、開閉式の窓は数年経つと固着して開け閉めがしにくくなる場合があります。
原因は様々ありますが、雨風による細かい埃や水垢が窓枠に溜まってしまったり、古い車両になると窓枠に少しずつズレが生じてきたりすることが挙げられます。
コロナ禍になってからは、換気のために窓の一部を開けて運行する事業者が多くなりましたが、それでもなかなか固くて開けられない窓は未だに多いですね。

バスの換気性能はかなり優秀

国土交通省が実施した、路線バスや観光バスでの車内換気能力の調査では、路線バスは約3分、観光バスは約5分で車内の空気がすべて外の空気と入れ替わるという結果が出ています。

観光バスにおける車内換気能力調査結果
路線バスにおける車内換気能力調査結果
バスにおける車内換気能力調査結果(画像:国土交通省

特に、路線バスの場合には窓開けの効果もさることながら、乗降時の前扉・中扉の開閉によって大量の空気が入れ替わります。

この調査結果では、完全停車時に前後ドアを閉め切り、客席の窓を開放、天井部に設置されている換気扇を強モードで2機作動させた場合の時間となっています。
実際の路線バスの運行では、走行時に外気導入口から多くの空気が入ってきますし、バス停に到着するたびに前後両方・または片方の扉が開くでしょうから、もしかしたら3分よりも早い時間で換気が完了している可能性も大いにあります。

このような調査結果が出ているとしても、どうしても不安に思われる利用客も多いのが現実でしょう。
ウィズコロナ時代に突入している現在、密な状態を避けて安心安全な空間を提供できるかということも、バス事業者の差別化の一つになりそうですね。