ドラブロ ーバス運転士の徒然日記ー

バス運転士が日常の気になったコトやモノについて書き綴っています

鉄道・バスなどで運賃の改定(値上げ)が始まります

近畿圏内の鉄道会社やバス会社で、運賃改定の動きが相次いでいます。
2022年3月29日(火)にJR西日本が発表した京阪神エリアの特定区間運賃の一部見直しを皮切りに、2022年4月15日(金)には近鉄も27年ぶりの運賃改定を発表しました。
バス業界においても、2022年4月12日(火)に阪急バスと京都市交通局が、長岡京エリアでの運賃改定を発表しました。

JR西日本発足時の割引運賃がついに見直しへ

JR西日本京阪神エリア一部区間では、旧国鉄時代に私鉄との運賃差を抑えるため割安な特定区間運賃を設定し、これまで消費税増税を除いて運賃改定を実施することなく、設定当初からの運賃水準を維持してきました。
しかし、今回JR西日本では、コロナ禍による厳しい経営状況の長期化や市場環境の変化を踏まえ、京阪神エリアの一部区間に設定している割安な特定区間運賃の一部を見直します。

具体的な見直し内容は、

  • 普通運賃及びそれに基づく通勤定期運賃(34区間
  • 6ヶ月通勤定期運賃のみ(65区間

とのことです。

運賃見直しの対象区間の普通運賃額と定期運賃額の比較
運賃見直しの対象区間の普通運賃額と定期運賃額の比較
運賃見直しの対象区間の普通運賃額と定期運賃額の比較(画像:西日本旅客鉄道株式会社)

6ヶ月通勤定期運賃は、旧「国有鉄道運賃法」に基づいて設定し継承されてきましたが、定期運賃の一般的な割引水準に見直されます。(通学定期運賃については据え置き)
見直し時期については、2023年4月1日(土)購入分からとなります。

近鉄も27年ぶりに運賃の改定へ

近鉄は4月15日に、国土交通省に対して平均17%の改定率で運賃改定を申請しました。
沿線の少子高齢化等によって利用者が減少する中、消費税率引き上げに伴う運賃改定を除き1995年9月以来、約27年間運賃を据え置いてきましたが、コロナ禍により鉄道利用が大きく減少し、厳しい事業環境に陥ったためとしています。
会議や買い物のオンライン化などの「新しい生活様式」が既に定着しつつあり、経営努力をだけでは収入減少を補うことが困難だと判断したようですね。

近鉄が国土交通省に申請した運賃改定申請の主な内容

国土交通省に申請した運賃改定申請の主な内容(画像:近畿日本鉄道株式会社)

全国の鉄道会社に言えることですが、健全な鉄道運営を維持するためには、鉄道車両や設備の更新、バリアフリー整備、防災対策等をこれからも継続的に行い、安全性や利便性を確保していかなければなりません。
近鉄では、2023年度から2025年度までの3年間で、約860億円の設備投資を計画しているようです。
設備の健全性維持、安全対策等を引き続き強化していくほか、老朽化した一般車両の更新に加え、車内防犯対策の強化、激甚化する自然災害への対策、可動式ホーム柵設置等のバリアフリー整備の加速、駅のリニューアルなど快適な利用環境のさらなる整備、将来へ向けた技術開発等を推進していくとのことです。

今回の運賃改定の実施予定はJR西日本と同じく、2023年4月1日(土)からとなります。

京都府長岡京エリアでは、バス運賃の値上げが発表

4月12日、阪急バスと京都市交通局長岡京エリアでの運賃改定を発表しました。
今回の運賃改定は、長岡京エリアで競合している阪急バスと京都市バスの運賃を、対キロ区間制から均一制に移行するというもの。
対キロ区間制では初乗り170円から最大400円という運賃設定でしたが、これを230円に統一するとしています。

長岡京エリアの運賃改定の内容
長岡京エリアの運賃改定の内容
長岡京エリアの運賃改定の内容(画像:京都市交通局

これだけを見ると、大半の区間で運賃が値下げされるようにも見えますが、阪急バス単独で運行している路線については170〜370円の対キロ区間制運賃が、180〜390円へと20円ほど値上げされるということです。

長岡京エリアの運賃改定の内容

長岡京エリアの運賃改定の内容(画像:阪急バス株式会社)

今回の運賃改定の開始時期については、2022年6月1日(水)からとなります。
阪急バスは下記の通り、利用者に理解を求めています。

2019年4月19日付で京都エリア一般路線バスの運賃認可を受け、同年5月8日に運賃改定を実施いたしました。
その際、お客様への影響を考慮し、認可を受けた上限額での運賃改定を見送り、段階的に運賃改定を実施することとしました。
しかしながら、弊社の路線バスを取り巻く環境は、コロナ禍以前から少子高齢化に伴う就業人口の減少等によって利用者の減少が続く厳しい状況で、さらに今般の新型コロナウイルスの影響による新たな生活様式への移行、リモートワークや在宅勤務等の新たな働き方の進展により、路線バスの収入は以前にも増して著しく減少しております。
これまでの利便性向上に加え、諸経費の削減や投資の抑制に努めてまいりましたが、お客様のご利用が以前の水準に回復しない状況となり、引続き継続的にサービスを提供していくためには、路線バス事業の収支改善が欠かせなくなっております。
お客様が日々安心してバスをご利用いただけるための安全快適な輸送サービスを提供し、路線バス事業の経営健全化を進めるために、今般、必要となる経費の一部をお客様にご負担いただくものでございます。

(引用元:阪急バス株式会社)

燃料代が過去最高レベルの高騰を続けている中、利用客の減少に歯止めがかからないために、最後の手段ともいうべき運賃の値上げに踏み切らざるをえないということですね。
消費税増税の時以外にバスの運賃が値上げされたというのは、僕の記憶している中ではありませんでした。
物価がこれだけ上昇している中で、バスや電車の運賃だけがそのままの水準だったというのが、そもそもおかしかったのかもしれませんね。