ドラブロ ーバス運転士の徒然日記ー

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バス運転手不足による運休が発生します

鹿児島市内を運行する路線バス会社「南国交通株式会社」が、鹿児島市交通局から移譲されたバス路線の一部で運休を行うと発表しました。

373news.com

鹿児島市は22日、南国交通に移譲したバス10路線のうち吉野線、明和線、清水・常盤線の3路線について、5月9日〜9月30日の平日、1日計23本運休すると明らかにした。運転手の退職が相次ぎ、安全面や法令順守に影響が出る恐れがあるため。同社は運転手の採用を急ぐが、確保できない場合は運休が延長になる可能性がある。市議会産業観光企業委員会で報告した。

対象は昼から夜の便で吉野線は98本から12本減、明和線は99本から10本減。清水・常盤線は最終便を1本運休する。市が移譲したのは362本(自主的な増便含む)で、新型コロナウイルス禍で効率的な運行をするため、4月1日に325本にダイヤ改正したばかりだった。朝の通勤・通学時間帯は現状を維持する。

南国交通は自社路線の運休を含め近くホームページで詳細を発表、各バス停に案内を掲示する。

市交通局によると、運行計画に沿った必要な運転手数は163人。今年に入り、1月と2月に各1人、3月5人、4月2人が退職し139人となり充足率は85%。これまで人員不足には、休日出勤や時間外勤務で対応していたが安全面などを考慮し運休に踏み切る。

同社は「利用者に迷惑を掛け申し訳ない。採用努力を重ね、運転手がそろい次第、通常ダイヤに戻していく」と説明した。研修などを経て業務に入れるのは最短で10月の見込みだが、昨年10月以降、採用への応募はないという。

市は2020年4月の移譲を前に「(運行経路や便数は)原則3年間維持」する基本協定を結んでいる。市交通局は「大変遺憾。利用者への丁寧な周知広報と運転手採用について最大限努力するよう申し入れていく」としている。

記事引用元:南日本新聞

運転手不足によるバス路線の運休は既に始まっている

バス運転手不足によるバス路線の運休は、地方都市を中心に徐々に広がっています。
今回取り上げた南国交通も、鹿児島県内では大手のバス会社といえる規模でしょう。
ただし、少子高齢化や過疎化もあって、運転手の後継者である若者が入ってこないという状況に陥っています。

南国交通株式会社のウェブサイト

南国交通株式会社のウェブサイト

バス路線の運休とまではいかなくても、都市部では減便が相次いでいます。
今までは平日昼間の時間帯を1時間あたり1便の減便、といった具合でしたが、コロナ禍によって影響は一気に拡大。
ラッシュ時間の運行本数を維持する代わりに、平日昼間や土休日ダイヤの運行本数を2~3割減らすといったダイヤ改正が行われるようになってきました。

運転手不足の原因は待遇悪化も原因

バス運転手の人手不足というと、バス業界の待遇の悪さが一番に挙げられます。
今回の南国交通も昨年10月以降、運転手採用への応募が無いと言っています。

厚生労働省が発表している令和3年賃金構造基本統計調査によると、鹿児島県における平均年収は405.9万円。
対して、南国交通の年収は入社2年目の社員で340万~420万円(基本給+諸手当+賞与)とのこと。

「あれ?平均年収超えてるやん」と思われた方もいらっしゃるでしょうが、これは残業代も含めた諸手当込みの年収です。
細かい条件を見ていくと、下記の通りとなります。

【基本給】  16万3000円
【諸手当】  家族手当(月1万470~1万5050円)
       公休出勤手当
       時間外・待機・中休・拘束外手当
【交通費】  支給無し
【賞与】   年2回(前年度実績/4ヶ月分)
【勤務時間】 5:54~22:45の中で実働7時間
       ※1ヶ月単位の変形労働時間制
【休日休暇】 5勤1休
       年間休日84日
       有給休暇
       介護休暇
       育児休暇
       産前産後休暇

このように細かい条件を見てみると、やはりホワイトカラーの職業と比べて条件面で見劣りしてしまいますよね。

経費における固定費の割合が多く、なかなか利益を出しにくいと言われるバス事業。
車を運転できない高齢者や学生の足としても機能しているため、運賃値上げもしづらいという板挟み状態に陥っている事業者が多いのが現状です。
バス会社に丸投げではなく、地域住民や行政も関わって、存続や発展への道筋を立てて欲しいなと思います。