ドラブロ ーバス運転士の徒然日記ー

バス運転士が日常の気になったコトやモノについて書き綴っています

無線式のバス押しボタンが発売されました

バスや鉄道用の電装機器などの製造および販売・サービスを手がけるレシップ株式会社が、無線式のバスの押しボタンを開発し、販売を開始しました。

www.lecip.co.jp

レシップ株式会社(本社:岐阜県本巣市代表取締役社長:杉本眞、以下レシップ)は、バス用降車信号装置(以下、押しボタン)の新メニューとして、無線押しボタンシステムを発売開始しました。

既存のシステムは、押しボタンと乗務員席周辺に設置された制御器との間をそれぞれ配線でつなぐ必要があります。この度発売開始した無線押しボタンシステムは、これらの配線が不要となり、下記のような特徴があります。

特徴
・電池交換が不要
押した力を電気に変えて信号を発信するため、電池は不要です。電池交換の手間がありません。また、運行途中に電池切れとなり使用できなくなるトラブルもありません。

・配線が不要
配線工事が不要になるため、工期の短縮やハーネス重量の軽減(大型車両の場合で約10㎏軽減)に寄与します。(大型車両は押しボタンを約40箇所取り付けています。)車体の軽量化につながり、燃費の向上によるCO2排出量低減に貢献します。また、配線に起因するトラブルがなくなるため、使用開始後のメンテナンス性の向上にも寄与します。

・押しボタン取付自由度の向上
有線押しボタンと、配線が困難な箇所には無線押しボタンと、両者を組み合わせて設置することもできます。車種や車型によって事業者様の用途や使い勝手に合わせて採用できます。

・押しボタン毎の個別の信号を活用
無線押しボタンは、発信する電波に固有の情報を持つため、当社製の車内液晶表示器(OBC-VISION)と連動させることで、押された押しボタンの場所に合わせた自動アナウンスをすることも可能です。

レシップ株式会社は、無線押しボタンシステムによって、安全かつ容易に利用できる公共交通機関の運行に貢献することを目指します。引き続き、事業者・利用者双方の利便性を高める製品開発に取り組みます。

記事引用元:レシップ株式会社ニュースリリース

有りそうで無かったシステム

今回、レシップが開発したこの無線式押しボタンシステムは、今まで有りそうで無かった画期的なシステムだと思います。

無線式バス押しボタンのシステム

無線式バス押しボタンのシステム(画像:レシップ株式会社)

普段、僕たちが使用している機器でも、無線式のものは多くありますよね。
Bluetoothを使ったワイヤレスイヤホンやヘッドホン、ハンズフリーマイクだけでなく、最近の家庭用プリンターもWi-Fi接続ができるので、パソコンとUSBケーブルで接続しなくても印刷ができちゃいます。

ところが配線が不要でも、多くのボタンを設置しなければならないバスでは電源という問題が発生します。
省電力化しても個々のボタンに電池を内蔵して、切れれば充電しなければならないので、それもなかなか煩わしいことになりますよね。

無線式バス押しボタンの設置イメージ

無線式バス押しボタンの設置イメージ(画像:レシップ株式会社)

ところが、今回のシステムでは、お客さんが降車ボタンを押した力を電気に変えて信号を発信するため、電源は不要なのが特徴です。
これによって、よく押される位置のボタンだけ電池切れという心配は不要となり、トラブルの頻度がグッと減ることになります。

他にもこんな便利な機能が

電波で降車ボタンが押されたことを発信するため、信号そのものに情報を持たせて降車ボタン固有の信号とすることができます。
それによって、どの場所のボタンが押されたのかが判断でき、例えば押された場所によって自動放送の内容を変えるなどの活用が可能となります。

中扉より後ろに座っているお客さんには「段差にご注意ください」であったり、扉付近のお客さんには「開く扉にご注意ください」などのアナウンスが追加できるというわけですね。

バスの運行には、実は多くのIT技術が活用されているのですが、走行系の技術とともに運行システムも着々と進歩しているのが垣間見ることができますね。
全体の軽量化や押しボタンの取り付け自由度が高まるなど、バス会社にとって見ればメリットの多いシステムかもしれませんね。