ドラブロ ーバス運転士の徒然日記ー

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西九州新幹線が開業に向けて動き出しています

長崎駅佐賀県武雄温泉駅を結ぶ西九州新幹線が2022年9月23日(金)開業する予定です。
それに向けての試験走行も5月10日(火)から始まり、着々と動き出しています。

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9月の西九州新幹線(武雄温泉-長崎)開業に向け、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)とJR九州は10日、同区間に導入する新車両「かもめ」の走行試験を始めた。九州新幹線長崎ルート(博多-長崎)の整備計画が1973年に決定して以来49年の時を経て、新幹線が初めて県内を走った。

午前9時ごろ、大村車両基地大村市)を出発。県内を時速45キロで走り、線路や架線の状態などを確認した。鉄道・運輸機構によると、予定よりも確認作業に時間がかかったが、走行に問題はなかった。新大村、諫早、長崎各駅のホームでは市民らが歓迎。沿線にはカメラを手にした鉄道ファンの姿も多く見られた。11日に佐賀県内を初走行する。

試験は6月16日まで。15日程度走行する。徐々にスピードを上げ、最終的には営業運転時の最高時速260キロを出す。安全性が確認されれば国土交通省の完成検査を受ける。一般向けの試乗会も予定している。

導入車両は東海道新幹線の「N700S」をベースとした6両編成。開業時は計4編成導入する。

JR九州の古宮洋二社長は10日、福岡市であった決算発表会見で、走行試験にも言及。「それぞれのまちの思いを受け止め、地元の方々や遠くから来てもらう方々に満足な新幹線を提供するため(開業日の)9月23日に向けて進めていきたい」と述べた。

九州新幹線長崎ルート(全長143キロ)のうち、西九州新幹線(約66キロ)はフル規格で整備し、武雄温泉のホーム対面で在来線特急と乗り換える。博多-長崎の所要時間は最速1時間20分で現行の特急より約30分短縮される。佐賀県内の未着工区間新鳥栖-武雄温泉)の整備方式は未定。

記事引用元:長崎新聞

長崎駅武雄温泉駅までの暫定開業

沿線にとっては待望の新幹線開業ですが、今回の開業はあくまで暫定的なものです。
なぜなら、元々は博多駅までをフル規格の新幹線で結ぶ予定だったにもかかわらず、博多駅~武雄温泉間は、費用負担や整備方式をめぐって折り合いが付いておらず、着工には至っていないため。

西九州新幹線のルート

西九州新幹線のルート(画像:JRTT 鉄道・運輸機構)

そのため、当面は武雄温泉駅博多駅武雄温泉駅間を運行する在来線特急列車と同じホームで乗換を行う「対面乗換方式」により運行されます。

JR九州では

西九州地区と福岡・中国・関西地区との更なる交流拡大をもたらし、西九州地区の振興と発展に大きく寄与するだけでなく、既に開業した鹿児島ルートと連携することにより、九州地域全体の更なる浮揚に重要な役割を果たし得る交通インフラです。
この開業を契機に、生活と観光の両面での開業効果を高め、沿線のみならず、佐賀県長崎県の各地に効果を拡大させるため、地域の皆さまの生活利便性の向上、魅力ある観光ルートの新たな構築に取り組んでまいります。

としています。

高速バスとの熾烈な競争は必至

新幹線開業による経済効果に対する期待値が最も高いのは長崎市です。
開業時点での利用人数は、年間61万人と想定されています。
また、2021年9月時点で今後1年間は94.8%の予約が入っていて、経済効果は 「年間114億円」 が見込まれているそうです。

西九州新幹線Webサイト

西九州新幹線Webサイト(画像:JR九州

しかしながら、これまで長崎駅博多駅まで在来線特急「かもめ」1本で行けた区間武雄温泉駅で乗り換えが必要になります。
同じホームでの対面乗換方式が取られるので移動距離は短くて済むものの、いちいち降りて別の電車に乗り換えるのは少しの手間だとしても面倒くさいもの。

長崎県では、長崎駅博多駅間の所要時間について、現在の在来線特急で1時間50分のところ1時間20分へと30分短縮されることをアピールしていますが、長崎駅発着の在来線特急が廃止されることや特急料金も高くなることで、想定通りの利用が見込まれるかは難しいところです。

そこで注目されるのが、長崎駅から福岡の西鉄天神バスターミナルまでを結んでいる九州急行バスの高速バス「九州号」。
こちらは乗り換え無しで福岡市の中心部・西鉄天神バスターミナルに乗り入れていて、降りてすぐに福岡市の中心部に出ることができます。

所要時間こそ2時間強と新幹線には及ばないものの、片道運賃は2,620円と新幹線に比べると圧倒的な経済性です。
また、4枚綴りの回数券も発売されていて1枚当たり2,225円、Web回数券になると1枚当たり2,125円という安さになります。
往復4,000円ちょっとで博多まで出かけられるなら、こんなに便利な移動手段は無いですから、学生などの若い子だけではなく、様々な年代の人が利用しているでしょうね。

また、長崎県第2の都市・佐世保市については今回の西九州新幹線開業の恩恵はまったくと言っていいほどありません。
また、現地の人が遠くに買い物に出かけようという時には、長崎市ではなく福岡市に出ることが多いそうです。
佐世保市に本社を置く西肥さいひバスは、佐世保駅長崎駅西鉄天神バスターミナルを結ぶ高速バスを運行していますが、佐世保駅から長崎駅までは最短で1時間25分、西鉄天神バスターミナルまでは最速1時間50分と、福岡市に出る方が圧倒的に便利だということが分かりますね。

九州では、福岡県の西鉄バスを中心に様々なバスネットワークが張り巡らされていて、日本有数のバス大国と言われています。
今回の西九州新幹線開業をきっかけに、更なる攻勢をかけてくるかもしれないので、今後の動きにも注目したいですね。