ドラブロ ーバス運転士の徒然日記ー

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無電柱化を進めている中、新しい電柱が増加しています

資源エネルギー庁が昨日、「電柱の増加要因を踏まえた新設電柱の抑制に向けた対応方策について」というタイトルで、新設された電柱の調査結果を発表しました。
これは、国土交通省が2021年5月に策定された無電柱化推進計画を進めている中、なかなか電柱の数が減らないどころか、毎年数万本単位で増え続けている電柱を減らすための方策をまとめたものです。

2021年4月~12月で電柱の数は約3.3万本増加!

資源エネルギー庁が発表した資料によると、2021年4月~12月の間に全国で新設された電柱は約16.7万本となっています。
その一方、撤去された電柱の数は約13.4万本で、約3.3万本の増加となりました。

新設された電柱は電力会社が送電・配電を目的とした電力柱が10.6万本、NTTが電話線や光回線ケーブルを届けるための通信柱が約6.1万本となっています。
撤去された電柱は電力柱が約6.6万本、通信柱が約6.8万本で通信柱が約0.7万本減ったものの、電力柱が約4.0万本増えたために全体の電柱の数は増えてしまったという結果になりました。
このままのペースで推移すると、2021年度は約4.5万本の電柱増となる計算だということです。
個人的には、8ヶ月で13.4万本もの電柱が撤去されているんだということが驚きでした。

新設電柱の調査結果概要

新設電柱の調査結果概要(画像:資源エネルギー庁

電力柱の新設(約10.6万本)のうち、供給申込や再生可能エネルギー発電設備への接続によるものが半数の約5.2万本となっていて、この内約8割が個別の家屋新築等に伴う供給申込によるものだったということです。
これは今年度以降もなかなかペースが落ちそうにはないですね。

電柱が増えていく原因と対応策

電柱が増えていく原因はどこにあるのでしょうか?
一番多かった個別の家屋新築時の供給申込のケースを例にとって見ていきましょう。

ある程度の規模で住宅地の土地造成を行う場合、その時点ではまだ家の間取りなどが決まっていないことが多いため、どこに電線を引き込むかを確定することができません。
間取りが決まって、水道管やガス管を引き込む段階になって電線用の溝を掘って地中化しようとすると、コスト増加や工期の長期化に繋がってしまうため「とりあえず電柱立てて、そこから引き込もうか」となってしまいます。

家屋新築時の無電柱化への取り組み

家屋新築時の無電柱化への取り組み(画像:資源エネルギー庁

そこで、2023年度からは水道管と同じように、あらかじめ引き込む場所を決めておいて、水道管の工事と同時に電線管路も整備して、コストや工期を抑える工法の先行事例を作って普及に取り組んでいくそうです。
また、電力ケーブルや地上機器の仕様を統一し機器を共同調達することで、無電柱化工事のコストを抑えようという取り組みも行われています。

太陽光発電も電柱増加の原因に

家屋新築時の供給申込以外にも、実は太陽光発電所(メガソーラー発電所)も電柱が増える原因がありました。

太陽光発電所においては、高圧と比べて低圧の方が保安規制等が少なく、低圧での発電設備であると申請するために、柵などで発電設備を分割する事業者が存在しているようです。
高圧での発電所設置の際には、工事計画の届出、使用前自主検査、使用前自己確認といった事前規制があり、主任技術者も必要になるため、企業としてはそこのコストを抑えたいという思惑があるのでしょう。
高圧から低圧に分割された発電設備の数に応じて、必要以上に電柱が増加してしまうため、本来は1本で済んだ電柱が6本に増えたという事例もあるようです。

太陽光発電所における不要な電柱増加対策

太陽光発電所における不要な電柱増加対策(画像:資源エネルギー庁

そこで、過剰な電柱を抑制するなどのため、こうした発電設備の分割を規制することを決定しました。
電気事業法施行規則を改正し、2022年4月1日より施行したということです。

災害時などには電柱が無い方が安全性が高かったりするものですが、やはり一番のネックは電線地中化や共同溝を建設する際のコストですね。
今は少しずつコストのかからない工法が出てきていますので、そういったものが一般化されていって、電柱が少しでも多く無くなればいいなと思います。