ドラブロ ーバス運転士の徒然日記ー

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波力発電の実証実験が沖縄県・久米島で行われました

再生可能エネルギー装置の技術開発を手がける株式会社グローバルエナジーハーベストは、2022年5月24日(火)~25日(水)に波力発電技術となる「往復型回転加速式発電装置」の実証実験を沖縄県久米島町にて行いました。
その結果、24時間以上にわたって安定的な発電を行うことに成功したとのことです。

www.okinawatimes.co.jp

再生可能エネルギー装置の技術開発を手がけるグローバルエナジーハーベスト(神奈川県、速水浩平代表)はこのほど、沖縄県久米島町で波力発電の実証実験を実施し、24時間以上にわたって安定的に発電することができたと発表した。今後は暴風や高波など悪条件下での安定的な発電も確認した上で、2025年の実用化を目指す。(政経部・石川亮太)

同社が開発した、往復型回転加速式発電装置を5月24~25日、同町の具志川漁港の岸壁に設置して実験した。今回の装置は小型で最大出力は300ワット程度だが、今後、1~2キロワットの出力を目指し開発を進める。

波力発電は、波で海面が上下する力を利用し、装置にあるフライホイール(円盤)を回転させることでタービンを回し発電する。同装置は小型で場所を取らないため、港の岸壁などに装置を複数設置することで一定の出力を確保できる。

沖合の養殖施設への電力供給などとしても期待されるほか、二酸化炭素排出量の削減などを目的に世界的に開発・研究が進むEV船に非常時用として搭載するなど幅広い活用の可能性があるという。

波力発電は、太陽光や風力発電と違い、天気に関係なく安定したエネルギーを確保しやすいことが特徴に挙げられる。

同社ではこの装置とは別に、大型の浮き状の物体を海上に浮かべ、発電する循環型波力揚水発電装置の研究開発も進めている。久米島町の真泊港の海域で11月から1年間の実証実験を始める予定で準備を進めている。大きさは縦約22メートル、横約40メートル、最大出力は330キロワット。400~600戸分の電力に相当する。

久米島町は再生エネルギーで電力需要を賄う計画を持っており、町の協力を得ながら実用化に向けた取り組みを進めている。

記事引用元:沖縄タイムス

波力発電とは?

波力発電とは、文字通り波の運動エネルギーを利用して電力を得る発電方法のことです。
台風や津波の際は「海岸に近づかないように」と言われますが、それは波の持つエネルギーが大きく危険を伴うからです。
一方で、この巨大な波エネルギーをいかした波力発電の研究が近年注目を集めています。

日本ではまだ聞き馴染みのない波力発電ですが、実は1970年代のオイルショックをきっかけに大きく注目を集めていました。
世界的に石油を含めた化石燃料への危機感が高まり、代替エネルギーに注目が集まったタイミングでした。
その際に、太陽光発電風力発電と同様に波力発電も注目を浴び、研究開発が進められるようになったとのことです。

世界で初めて波力発電装置の実用化をしたのは日本

日本では1919年に波力発電に関する実験が千葉で行われ、その後1965年に海上保安庁により益田式航路標識ブイが採用されました。
なんと、これは世界で初めて実用化された波力発電装置だということで、現在でもこの装置は国内外で稼働しています。

世界的に関心が高まったのが1970年代なので、日本はかなり先を行って研究していたんですね。
その後も様々な波力発電装置の実験が行われてきましたが、石油価格の落ち着きや資金難に伴って、波力発電の研究は徐々に下火に…
結果として、継続的に研究を続けていたヨーロッパやアメリカでは一部実用化されているのに対して、日本はまだ実用化に至っていないという結果になりました。

開発中の「循環型波力揚水発電装置」
開発中の「循環型波力揚水発電装置」
開発中の「循環型波力揚水発電装置」
(画像:株式会社グローバルエナジーハーベスト)

諸外国から遅れを取っている日本ですが、近年実用化へ向けて実験や開発が活発に行われています。
東日本大震災で被災した岩手県久慈市の港では、2021年8月から試験的に波力発電による発電を始めました。
港の沿岸に設置した発電装置で一般家庭10〜13世帯分の電力を供給できるそうです。

久米島の実証実験で使われた「往復型回転加速式発電装置」

久米島の実証実験で使われた「往復型回転加速式発電装置」
(画像:株式会社グローバルエナジーハーベスト)

日本は波力エネルギー大国

日本は国土の面積が世界61位でありながら、海岸の長さでは世界6位となっています。
これは、日本が波力エネルギーの満ち溢れた環境に位置しているということ。

この波力エネルギーは、再生可能エネルギーの中でも随一のエネルギー密度と量が確保できると期待されている発電資源ということです。
波力エネルギーは最もエネルギー密度とエネルギー量が大きく、太陽エネルギーの約20~30倍、風力発電の約5倍といわれています。

もし、このエネルギー量を有効活用できるとすれば、日本は一気にエネルギー大国になりますね。
今回の株式会社グローバルエナジーハーベスト以外にも、大手企業では三井造船三菱重工が従来の波力発電装置を改良した新装置を開発しているとのこと。
今回紹介した波力発電装置も含めて、今後のさらなる進歩に期待したいですね。