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広島市が路線バスに「上下分離方式」の導入を検討しているようです

広島市はバス会社の経営努力だけでは路線バスを存続させるのは難しいとして、バス会社と自治体が一体となって運営する「上下分離方式」の導入を検討していることを明らかにしました。

news.yahoo.co.jp

人口減少やコロナ禍の影響で乗客の低迷が続く路線バスについてです。
広島市内のバス事業者の営業収益の推移を見てみますと、2020年度の収益は前年より45%、およそ77億円、少なくなっています。
広島市は事業者の経営努力だけでは路線バスを存続させるのは難しいとして、事業者と自治体が一体となって運営する「上下分離方式」の導入を検討していることを明らかにしました。

2日の広島市議会の特別委員会で報告されたのは、路線バスの「上下分離方式」についてです。市は公共交通を道路と同様の”社会インフラ″と捉え、公的支援を検討するとしています。

路線バスについて始まった具体的な検討内容は、「広島型」の上下分離方式。これはバスの運行などの上部と車両やバス停の保有や維持管理といった下部を分離して運営する方式です。
委員からは「バス事業者の収支構造を抜本的に向上させ利用者のメリットも期待できる」と評価する意見が相次ぎました。

また「将来的にはバス以外の公共交通ネットワーク全体で検討して欲しい」との要望も出ています。市は国の支援を引き出し年内にも方向性をまとめ、最速で2024年度の実施を目指すとしています。

記事引用元:広島ニュースTSS

全国初!路線バスの「上下分離方式」を検討

広島市が検討している「上下分離方式」は、上下の「上」の運行管理については引き続きバス会社などの事業者が行い、「下」の車両や施設に関しては、インフラとして公的に支援をして支えていくというもの。

広島市が検討している路線バスの「上下分離方式」
広島市が検討している路線バスの「上下分離方式」
広島市が検討している路線バスの「上下分離方式」(画像:広島ニュースTSS)

このため、施設やバスの管理は事業者と広島市が出資してつくる資産管理会社が行い、バス会社は資産管理会社から車両をリースして、広島市とともに作成した運行計画に基づいて運行することになります。
バス会社としては車両の購入費や維持費を支払う必要がなくなり、負担の軽減が期待されるとのことです。

広島市が検討している路線バスの「上下分離方式」
広島市が検討している路線バスの「上下分離方式」
広島市が検討している路線バスの「上下分離方式」(画像:広島ニュースTSS)

この政策には、路線バスが鉄道などと同じく「社会インフラ」として捉えられていることが前提にあります。
広島では、路線バス事業者の一つである広島電鉄が市内の路面電車も運行していますが、まずは路線バスから「上下分離方式」を始めようということですね。

広島市内のバス収益は77億円減少

コロナ禍の影響により、全国の公共交通はかつてない損失を被りました。
当時、JR西日本の長谷川社長は「10年後に想定していた未来がこの数か月で一気に現実のものとなった」と話しておられました。

広島市内の路線バス事業者でもそれは同じようで、広島電鉄の担当者は「コロナ禍で減った乗客数が戻ってきていない」と話しています。
広島市内で路線バスを運行する広電バス広島バス広島交通芸陽バス中国JRバス5社の収益は、コロナ前と比べて合計で77億円も減少しました。

コロナ前後の広島市内バス事業者の収益

コロナ前後の広島市内バス事業者の収益(画像:広島ニュースTSS)

これは、全国どのバス会社でも同じような状況で、日本最大のバス会社である西鉄バスであっても「コロナ前の利用客数に戻った」という話は聞いていません。
リモートワークによる通勤客や出張の減少、大学のオンライン授業による通学客の減少などによって、バス会社の収益源である定期券収入が落ち込んだというのが一番の理由でしょう。

しかし、広島市内のように多数の路線バス会社が入り混じっている地域であれば、定期券や回数券の共通化や、共同運行のような形でダイヤ調整を行うなど、経費削減のためにできる方法は色々とありそうです。

全国初のモデルケースになるか

今回の路線バスの「上下分離方式」は、まだ検討段階の政策です。
広島市は国の支援も取り付けながら、最速で2024年度の実施を目指しているようです。

もし、この路線バスの「上下分離方式」が実現すれば全国初となるでしょう。
多くの自治体や路線バス事業者が注目している政策でしょうから、楽しみですね。
また、これが実現すればモデルケースとしての研究も行われ、他の地域でも導入の検討が本格化するかもしれません。

国が支援を行うのか、広島市が単体で取り組むのか不透明な部分はありますが、これからも注目していきたいと思います。