ドラブロ ーバス運転士の徒然日記ー

バス運転士が日常の気になったコトやモノについて書き綴っています

フードペーパーをご存じですか?

先日、ラジオを聴いていて耳にした言葉「フードペーパー」。
直訳すると「食べ物の紙」ということになるのですが、番組を聴いているとやはりその通りでした。

フードペーパーとは、廃棄される野菜や果物を和紙の原料に利用して作られた紙のこと。
福井県越前市にある、越前和紙の老舗工房「五十嵐製紙いがらしせいし」で作られています。

foodpaper.jp

五十嵐製紙は創業100年を超える老舗の製紙工房で、最近では海外のアーティストからの注文も受けるなど、高い技術力を持った企業です。

そんな五十嵐製紙が、なぜ食べ物の紙を作ろうと思ったのか?
きっかけは和紙の原材料不足だったそうです。

伝統工芸の職人さんは高齢化が進んでいることや、後継者不足などが以前から問題視されています。
それと同時に、それを支える農家さんや生産者さんたちも同じく高齢化と後継者不足に悩まされているのです。
やるせない思いもありますが、時代の流れになかなか逆らえないというのも現実ですよね。

自分たちで原料となる植物を栽培される職人さんも出てきたようですが、すべての原料を自給自足で調達するにはまだまだ時間がかかり、今のままでは立ち行かなくなるのだとか。
そこで出てきたのが、今回のフードペーパーというわけです。

もともとのアイデアは、中学生になる五十嵐家の次男が小学生の頃から行っていた自由研究だったそうです。
何十種類もの野菜や果物を原料に混ぜて紙を漉いては、紙の強度や書き心地などを調べていたのだそうです。

五十嵐家の次男が研究していたフードペーパーの一部
伝統工芸士の資格を持つお母さんが漉きあげます
(画像 五十嵐製紙株式会社)

漉きあがるフードペーパーは、同じ野菜や果物を原料としていても、産地や季節によって色合いが変わってくるそうで、それも面白い発見だとおっしゃっていました。
また、ミカンやブドウなどの果物を混ぜ込んで漉きあげる時には、工房中にとてもいい匂いがするのですが、いざ和紙として出来上がるとその匂いは消えてしまうのだそうです。
「漉いている時にはどんないい匂いの紙が出来上がるのかと思っていたら、まったく匂いが残っていなかったので残念でした」と笑いながら話しておられるお母さんは、大変ながらどこか楽しんでおられるような感じでしたね。

野菜や果物を原料に混ぜて作られたフードペーパー

(画像 五十嵐製紙株式会社)

和紙作りの原材料不足に端を発したフードペーパーですが、結果的には独創的な和紙の世界を切り開いただけでなく、フードロスの削減にも繋がるという三方良しの製品になりました。
これからも、こういう取り組みがどんどん広がってくれると嬉しいなと思います。