ドラブロ ーバス運転士の徒然日記ー

バス運転士が日常の気になったコトやモノについて書き綴っています

バス運転手の改善基準改正の議論が進められています

今、厚生労働省で僕たちバス運転手にとって重要な問題が話し合われてるのをご存じでしょうか?
それが、バスやタクシーなどの運転手の1日の拘束時間や、退勤から次の出勤までの休息時間などを定めた改善基準告示の改正案です。
現在、その中で休息時間を現行の8時間以上から11時間以上にしようという議論が行われています。
しかしながら、この休息時間の拡大について会議の中で「待った」の声がかかりました。

この会議の正式名称は「労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会バス作業部会」。
なんとも長ったらしい噛みそうな名称ですね(笑)
2021年5月12日に第1回目が開催され、2022年3月16日に最新の第6回バス作業部会が開催されています。

会議に参加されている委員のメンバーは以下の6名(敬称略)です。

【公益代表委員】
東京医科大学講師 小田切 優子
筑波大学教授 川田 琢之

【労働者代表委員】
私鉄総連副執行委員長 池之谷 潤
交通労連バス部会事務局長 鎌田 佳伸

【経営者代表委員】
東武バスウエスト(株)社長 金井 応季
・京成バス(株)社長 齋藤 隆

休息時間の拡大に「待った」をかけたのは経営者側の代表委員の方々ですね。
理由としては朝夕のラッシュ時の輸送力が落ち、運行計画が組めなくなるからといったことのようです。

バスやタクシー運転手の休息時間についての定め

(画像 東京新聞

一般路線バスの場合、夕方のラッシュが落ち着いた21時に退勤したとして、11時間後だと翌日の出勤は8時以降になり、確かに朝のラッシュに対応しにくくなります。
朝のラッシュに対応するために6時出勤にしようとすると、前日は19時までに退勤しなければならず、そうなると駅前のバス乗り場で列をなしているお客さんを前に回送で車庫に帰らないといけません。

そこで厚生労働省が出してきた修正案は、休息時間を現行の8時間以上から9時間以上にしようというもの。
現実的な妥協点を探らないといけないとはいえ、労組側の委員も厚生労働省の修正案を受け入れる姿勢を示したというからびっくりです。
労働者側の立場の僕からすると「間を取るにしてもなんで10時間以上じゃなかったの?」と言いたくなってしまいます。

しかしながら、東京新聞のニュースによると、公益代表委員の小田切さんが休息時間の拡大を主張されたので結論はいったん先送りになったようです。

www.tokyo-np.co.jp

バスなど運輸業界で働く運転手の過労防止策を議論する厚生労働省労働政策審議会は17日、作業部会を開いた。勤務終了から翌朝の始業までの休息時間を「最低9時間」とする同省の案に、委員の一部から異論が出て結論を先送りした。厚労省案は国際基準の「11時間」より大幅に短いことが問題視された。日本労働弁護団も同日、厚労省案に反対する声明を発表した。(池尾伸一)

現在の休息時間は1989年の告示で「最低8時間」と定められる。だが、運転手の過労や睡眠不足による事故が増え、厚労省は見直しに着手。通勤や食事時間も考慮し最低11時間とする案をいったんは提出したが、経営側の反対を受け「9時間案」に修正した。

作業部会では、公衆衛生学が専門の小田切優子・東京医大講師が「運転手を守るのは国民の安全を守るということ」と指摘。「休息時間が11時間を切ると睡眠は6時間を下回る人が多いとの実態調査からしても、11時間は重要」と休息時間の拡大を主張した。

作業部会は、業界代表と労働組合代表に加え、国民の利益を代表する公益委員の3者計6人で構成される。小田切氏は公益委員。バス業界の経営者代表と労組代表は同案を基本的に受け入れる考えを示している。

一方、日本労働弁護団は声明で、厚労省案について「脳や心臓疾患を引き起こすリスクを容認する」として、「バス、タクシー、トラックいずれの業種も休息時間は11時間とするべきだ」と求めた。

記事引用元:東京新聞

近いうちに議事録等も公開されると思うので、どのような方向性で決着するか注目したいと思います。